日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣 江戸初期寛永頃 約380年前 新刀上作 倶利伽羅彫見事 映り立ち箱掛ったのたれ刃明るく冴える傑作 脇差 銘 加州住藤原兼若（又助） 法量 説明 長さ
元幅
元重
鎬厚
茎長
重量 37.8cm
0.6cm
3.2cm
0.65cm
13.3cm
315g 平造、三ツ棟、身幅広く、浅く反りつく。鍛は、板目肌に、杢目肌交じり、地沸微塵につき、淡く映り立つ。刃紋は、のたれに、箱形の刃を交え、足・葉入り、小沸つき、金筋・沸筋掛り、匂口明るく冴える。帽子は、のたれて先尖ごころに、深く返る。彫物は、表裏に棒樋角止、表樋中に倶利伽羅、裏樋中に素剣を彫る。茎は、生ぶ、先栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。ハバキは、金着一重。
初代兼若は、名を辻村甚六といい、志津三郎兼氏の末裔と伝え、前田利家に召喚され美濃より加賀に移住し、加州兼若派の祖となる。元和２年に越中守を受領、名を高平と改めている。二代兼若は、名を又助といい、初代の三男として慶長15年に生まれ、寛永五年兼若を襲名、前田家の庇護の元、兼若家の名を高めた。延宝五年に六十六歳で没。金沢藩では「兼若を持っている者には禄はひくくても娘を嫁にやる」と言われるほど称賛され、「加賀正宗」と呼称された。この刀は、身幅3.2cmと広く、浅く反りがつく南北朝体配の豪壮な姿で、淡く映りが立つ地鉄に、二代の特徴である焼きが広く箱掛かったのたれ刃を焼き、小沸よく付き、金筋・沸筋・砂流し掛るなど刃中よく働き、足・葉よく入り、匂口明るく冴え、覇気溢れる傑作である。倶利伽羅の彫物も見事である。


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